これは絶対 冬に読みたいやつ
『絵描きの植田さん』
真っ白な表紙に何色かの絵の具
手描きのタイトルの文字
とっても静けさを感じる表紙
物語は悲しくて辛い場面から始まります。
不慮の事故で聴覚と恋人を失ってしまう植田さん
画材一式と少しの着替えを持って都会から遠く離れた
高原の一軒家に引っ越した
そこで出会うヒゲのオシダさん、定食屋のだんなさんとおかみさん、隣に越してきた林イルマとメリ母娘
これ…冬に読めばよかった
冬のお話です。わたしの好きな冬から春にかけて…
全体を通してすごく静かなお話
心に傷を負って音のない世界で暮らしてる植田さんがまわりの人たちや少女メリの素直な心にふれて
植田さんの傷ついた心が次第に柔らかくなっていくのを感じられます。
高原の山に積もった雪や凍った湖が春が近づいてだんだん解けていくのと、植田さんの心が溶けていく様子の描写に感動…
でてくる人全部があたたかい心を持った人
それが寒い冬の舞台にすごくあっていて…
冬なのに暖かい…いや冬だから暖かい…かな…
私も右耳が聴こえず、まわりの人よりは少し静かな世界に暮らしています。
植田さんのように辛くて悲しい過去はないけれど
静かな世界で暮らしてる描写はとてもよくわかりました
静かで無色をイメージさせるお話だけど(本の紙質や色や空白のせいかなぁ)なぜか花の色や鳥の声を想像させるような不思議な世界
読み終わってからずっとスピッツの
『優しいあの子』が脳内再生されてます
なぜだろう…
これ…絶対 もう一度 冬に読みます