密原トリカと七億の小人とチョコミント
書店主フィクリーのものがたり
『書店主フィクリーのものがたり』
島に一軒だけある小さな書店 アイランドブックスが舞台
この店の 妻を亡くした偏屈な店主フィクリー
店の前に捨てられてた小さな子ども(後にフィクリーの子どもとなる)マヤ
町の警察署長 フィクリーの義理の姉
出版社の営業の女性…など
書店と本と島の住人たちの物語
作中に様々な本がでてくる
特に各章のタイトルが作品名になっていて
はじめにフィクリーのコメントと共にのっている
登場人物たちが時々吐くセリフもグッとくるものが多く…
本にはあまり縁のなかった警察署長が
「本屋はまっとうな人間をひきつける。俺は本について話すのが好きだ。俺は紙の感触が好きだ。ズボンの尻ポケットに入ってる本の感触が好きだ。新しい本の匂いも好きなんだ…」
署長…私めっちゃ署長と話が合うわ
フィクリーが育児の経験があるかどうかたずねられた時にフィクリーが言った
「専門はエドガーアランポーの「アッシャー家の崩壊」は 子どもをこう扱ってはいけないという格好の専門書にはなりますね」
という言葉
読んでて思わずニヤけました
本への愛情が山のように詰まった1冊
それぞれの登場人物に結構過酷な運命や悲劇があるけれど それをあまり感じさせないのは文章スタイルのせいなのかな…
セリフの返しもそうだけどセンスがよく
外国人作家さんならではの文かな
とにかく本が好きな人本を愛している全ての人に
贈りたい一冊
ここにでてきた作品やフィクリーのオススメの作品を全部読んでみたい
「その人を知るにはその人が何の本が好きか訊けばわかる」とフィクリーの持論だけど
それを読めばフィクリーのことがもっとわかるかも…
最終章もまるで映画のワンシーンのよう…
あぁ… 語り足りない、、、
海岸通りポストカードカフェ
『海岸通りポストカードカフェ』
横浜みなとみらいにある喫茶店
お客さんから送られてきた絵葉書を大切に保管して
壁一面に貼ってある風変わりな喫茶店が舞台
横浜 海岸通り ポストカード カフェ
好きなワードがならんでる
ストーリーは12話の連作短編集
送られてくるポストカードに書いてあることは様々で
旅の思い出や毎日の暮らし
嬉しいこと悲しいこと
ほんのつぶやき…
それがお店に来た人たちの目に触れて
巻き起こる人間模様
色んなことを抱えてる人たちが描かれているけど
読み心地は爽やかで温かいです
なんか自分がこのカフェの常連客になったような…
そんな気もちになります
人と人、人と思い出、人とその人自身を
繋ぐ手助けをするような…
自分が物語の登場人物のひとりになったような…
そんな気分になります
ことばの大切さや絵葉書の写真に込められた思いや
意味することの大きさ…
カフェっぽく ほっとひと息つくような本でした
博士の愛した数式
『博士の愛した数式』
47歳の時の交通事故で脳に障害を受け
記憶が80分しか持たない64歳のもと数学教授の博士
そこへ派遣されたシングルマザーとその息子
この3人と博士の義理の姉
主な登場人物はこれだけ
博士と家政婦とその息子の日々の暮らしが描かれています
性別、年齢関係なく 血の繋がりがなくても
家族になれる…家族愛のような
性別、年齢職業関係なく友達になれる友情のような…
ひとに寄り添うってこういうことかな…
80分で記憶がリセットされる博士の悲しみや失望も描かれてますが最後まで読んで悲しい気もちではなく温かい気もちが残りました
博士の人柄…家政婦さんやその息子に対する(特に子どもへの)愛情、敬意のようなものを感じ
また家政婦さんとその息子も博士に対して親しみや敬意の気持ちをしめしていて
無償の愛のような何かを感じました
あとこの物語 登場人物の名前がひとりもついてない…それでも各キャラの姿が浮かんで生き生きと動き出す…
名前なんてなくても物語が成り立っているところもスゴいと思う…
記憶が80分でなくなってしまう博士
毎日が「はじめまして」
いや2時間後には「はじめまして」になるけど
それなのに博士、家政婦さんとその息子
3人の絆が深まってお互いかけがえのない存在になっていくような…
あと 虎党の私にとって 掛布、真弓の名前が思いがけず見られたのもよかった
友情 家族愛 ひとと暮らすということ
色んなことを温かい気もちで読むことができました
しんどい心が軽くなる 今日のネコさんの教え
『しんどい心が軽くなる 今日のネコさんの教え』
こちらの本
諸事情により絶版となってしまいました
私は保護猫ボランティア活動をしていた時
インスタでこちらの住職の投稿を知りました
以来 活動がうまくいかなかった時も
ペットロスになった時も
中途失聴難聴になった時も
こちらの 外ネコたちの写真と住職のことばに救われてきました
何枚も何枚もスクショして保存しました
それが本となったのがこちらです
外ネコたちの写真とことば
そして そのことばはどんな意味があって
そのことばをかける住職のお気もちなども添えられてます
心が弱っている時に ほんとに沁みます
人との関係性に悩み
自分の在り方に悩む…
弱った心にぜひ…
レインツリーの国
『レインツリーの国』feat.アールグレイミルククリームドーナツ withストレートティー
聴覚障害があるヒロインとそのヒロインを支える男性 伸くんのお話
ある本の感想からネットで知り合ったふたり
メールでの交流を進めるうちに伸くんが会いたくなって……
メールの文章で構成されてる純愛物語
純愛物語だけど 嬉しい楽しい大好きだけじゃなく
現実味があり切なくもあり…
聴覚障害というパッと見 外見からは気づかれにくいからこそ外にでていきづらいこともあり
私も中途難聴者なのでこのヒロインの状況はよく理解できます
中途失聴難聴で一番やっかいなことは
聴こえないけど話せる…ということなんですよね…
なかなか周りに理解してもらえないです
このヒロインはちょっとしたことで卑屈になったり
私からみると 悪いところイヤなところ全開で
ちょっとめんどくさいな…と思うけど
気持ちはわかるし胸がキューっと痛くなったりする場面もあります
ただね…
彼が… カッコいいのよ…人てして…
卑屈でめんどくさい彼女に気長に付き合って…
こんな子いるのかな…と思ってしまった…
関西弁を使ってるんだけど…前向きで
とにかくカッコよかった
あと この有川浩先生が書かれた あとがき
この作品に対する思いにも感動しました
さらに解説をされた山本弘先生
こちらもほんとに熱い…
心に沁みる解説です
レインツリーの国 オススメです
美女と野獣 ディズニーアニメーションver.
ディズニープリンセスシリーズの
『美女と野獣』
ストーリーはもちろん本の中の挿絵も
アニメーションそのままですごく綺麗
アニメーションのストーリーを思い浮かべながら読みました
あらためてベルの人物像というか性格 人柄を
学べる感じです
あとは 信じる心
本が好きで優しくて可愛らしいけど
芯が強くて自立心がある
自分自身で考え行動する
そしてどんな時も前向きな心…
そして ベルの中にあるのは
やっぱり無償の愛
たとえ犠牲をはらっても誰かを守りたいという気持ちが常にある…
また 自分の意見をはっきりと伝える…
悪いところは悪いと伝え
ただ伝えるだけじゃなく自分に何かできることがあれば 一緒に克服しようと寄り添う
「こうして一緒にいれば何もかもうまくいくから」
このセリフ大好き
ベルのように誰かのために一生懸命になれる
そんな心を持ちたいと思いました
一見普通のおとぎ話のようだけど
ここから得るものはたくさんありました